2019 新年歌会始の皇族のお歌と入選者の作品

平成で最後となる新春恒例の「歌会始」が16日、皇居で行われました。

ことしの「歌会始」のお題は「光」でその中から両陛下のお歌と皇族方のお歌と入選者のお歌をご紹介いたします。今年は、全国と海外から合わせて2万2000首近い短歌が寄せられました。

《入選者の作品》

高知市奥宮武男さん(89)
土佐の海ぐいぐい竿は撓う竿跳ねて空に一本釣りの鰹が光る
山梨県甲州市石原義澄さん(82)
剪定の済みし葡萄の棚ごとに樹液光りて春めぐり来ぬ
◎福島の市逸見征勝さん(79)
湿原に雲の切れ間は移り来て光ふくらむわたたすげの紫
奈良県大和郡山市荒木紀子さん(78)
大の字の交点にまづ点火され光の奔る五山の送り火
◎栃木県鹿沼市大貫春江さん(77)
分離機より光りて落ちる蜂蜜を指にからめて濃度確かむ
岡山市秋山美恵子さん(66)
光てふ名を持つ男の人生を千年のちの生徒に語る
◎福岡県糸島市瀬戸口真澄さん(65)
ぎりぎりに光り落とせる会場にボストン帰りの晴信を観る
岡山県倉敷市重藤洋子さん(58)
無言になり原爆資料館を出で来る生徒を夏の光に放つ
秋田県大仙市鈴木仁さん(58)
風光る相馬の海に高々と息を合はせて風車を組めり
山梨県甲州市加賀爪あみさん(16)
ペンライトの光の海に飛び込んで私は波の一つのしぶき
《皇族方のお歌》 
天皇陛下
贈られしひまわりの種は生え揃ひ葉を広げ行く初夏の光に
皇后陛下
今しばし生きなむとおもふ寂光に園の薔薇のみな美しく
◎皇太子殿下
雲間よりさしたる光に導かれわれ登りゆく金峰の峰に
◎皇太子妃雅子様
おおぎみと母宮の愛でし御園生の白樺冴ゆる朝の光に
秋篠宮様
山腹の洞穴深く父宮ががさしたる先に光苔みつ
秋篠宮妃さま
日の入らむ水平線の輝きを緑閃光と知る父島の浜に
秋篠宮家長女眞子さま
日系の百十年の歴史へて笑顔光らせ若人語る
秋篠宮家次女佳子様
訪れし冬のリーズの雲光り思い出さるるふるさとの空
常陸宮妃華子さま
つかの間に光る稲妻さ庭辺の樹木の緑を照らし出だしく
寛仁親王妃信子さま
被災者の苦労話を聞きにける七歳が光る一語を放つ
三笠宮家喜古様
らふそくの光が頼りと友の言ふ北の大地を思ひ夜更けぬ
高円宮家妃久子さま
窓辺より光のバトンの射し込みて受くる吾らのひと日始まる
◎高窓宮家長女承子様
朝光(あさかげ)にかがやく御苑の雪景色一人と一匹足跡つづく
◎召人鷹羽狩行(たかばしゅぎょう)
ひと雨の降りたるのちに風出て一色に光る並木通りは