倉田百三の「俊寛」を読了

今日は11月25日、東京は小雨が降ってます。気温は10度。

やっと倉田百三の「俊寛」を読了しました。面白い本でした。戯曲の形式をとった本でしたが、こういう戯曲形式の本も結構読みやすいですね。

本の内容は、俊寛藤原成経と平康頼の3人が、謀反の嫌疑で九州の果ての島「鬼海が島」に流される。康頼は「赦免」を願って千本の蘇東坡を海に流す。そのうちの1本が平清盛のもとに届き、赦免の船が鬼海が島に到着する。しかし許されたのは、成経と康頼のみで、俊寛は島に残される。俊寛は清盛を憎み、島で怨念の権化となる。そこへ都で俊寛に仕えていた「有王」が都からやってくる。有王はあまりに変わり果てた俊寛の姿に驚く。俊寛は都で暮らしている家族の消息を尋ねるが、死去や行方不明になっている状況を知り悲しむとともに、清盛への憎しみがますます強まり、復讐の念を強くする。しかし、有王は「ここで平穏に暮らそう」と説くが、俊寛の気持ちは変わらず、それならば「お前は都へ帰れ」と有王と別れようとする。ある日、有王が「食を求めて出ている」時に俊寛は岩角に頭を打って死んでしまう。清盛への復讐をを心に秘めて。帰ってきた有王は、俊寛の死骸のものすごい形相を見て、「清盛への復讐」の念がいかに強いかを知る。そして、俊寛の死骸を背負って、有王も海に身を投げて死んでしまう。 以上があらすじですが、史実では、有王は「俊寛の遺骨をもって都へ」帰っています。「人間の業の深さとそれからの脱却」が倉田百三の世界だと思いました。、